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為替想定「140円」が4割

12月期企業の今期、円安修正見込

日経新聞より引用

上場企業の2024年12月期の想定為替レートは対ドルで平均140円となった。実勢相場の約150円よりも約10円の円高となる。日米金利差の縮小観測などから、足元の円安は修正され業績の押し上げ効果がなくなると見る企業が多い。

12月期企業で対ドルの想定レートを開示した108社を集計したところ、24年12月期は平均139.9円だった。19日の東京市場(約150円)や23年10~12月期実績(147.8円)よりも円高で、23年12月期通期実績(140.6円)並みの水準となる。

内訳は140円が42社と最も多く、全体の4割を占める。キヤノンDMG森精機ヤマハ発動機など円安が業績の追い風となる企業が多い。135円に設定する企業もあり、ブリヂストンTOYO TIREなど16社(1割強)にのぼる。一方、実勢並みの150円は静岡ガスなど2社(2%)にとどまる。

企業が想定レートを円高に設定するのは、金融政策が転換される可能性があるためだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げや日銀のマイナス金利解除の観測が出ている。ブリヂストンの菱沼直樹グローバルCFOは「日米の金利差縮小も勘案し、期末にかけて円高になると思う。実態は相場変動がかなり大きいため、保守的な前提を置いた」と話す。

円安による業績の押し上げ効果の縮小も見込む企業が多い。キヤノンは23年12月期に円安効果が597億円と最大の押し上げ要因となった。24年12月期は想定レートを140円と前期(140.85円)より小幅な円高で設定し、10億円の減益要因に転じると見る。

ヤマハ発動機は24年12月期の為替変動による利益押し上げが7億円と、前期の468億円から大幅に減る見通し。DMG森精機は23年12月期に円安が利益を113億円押し上げたが、24年12月期は25億円の押し下げ要因になると想定する。森雅彦社長は「為替は少しきつめに見た」と話す。

企業は為替変動の影響を抑えようとしている。日本たばこ産業(JT)は展開する130以上の国・地域の多くで、資材調達などの支払いに現地通貨を使っている。外貨建ての債権債務も原則全額をヘッジし、急激な相場変動の影響が出ないようにしている。ブリヂストンも為替予約や通貨スワップなどで相場影響をヘッジしている。

上場企業の7割を占める3月期企業も12月期企業と同様、25年3月期の想定レートを円高方向で設定する公算が大きい。24年3月期の想定レートは対ドルで平均139円。大和証券によると、対ドルで1円の円高は主要企業の経常利益を0.4%押し下げる。

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