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「ハト派」日銀に期待先行 円売り・日本株買い再加速か

日経新聞より引用

日銀の政策修正観測が高まるなか、海外投資家の「ジャパン・トレード」の動向に注目が集まっている。ここ1年は円売りと日本株買いを組み合わせた海外勢の取引が円安・株高を加速させてきた。18〜19日の金融政策決定会合後に日銀が急速な利上げを避ける「ハト派」的な姿勢を示せば、ジャパン・トレードが再び勢いづきそうだ。

15日の東京株式市場で日経平均株価は前日比99円安の3万8707円で終えた。一時は上昇に転じる場面もあり、個人投資家などの買い意欲の根強さが示された。

日本株の本格的な上昇が始まった昨年4月以降、株高の原動力となってきたのが海外投資家のジャパン・トレードだ。過去1年は日本株買いと同時に円売り・ドル買いの為替予約(ヘッジ)を組み合わせる投資家が多かった。為替変動のリスクを避けることに加えて、日米の金利差から生じる「ヘッジプレミアム」によって一定のリターンを得られることが背景にある。

投資後の株高進行で保有株の含み益が膨らむのを考慮してヘッジ比率を引き上げた場合、追加の円売りが発生し、さらに円を押し下げていく構図だ。

東証によると昨年4月以降、今年の3月第1週までに海外勢は現物と株価指数先物の合計で約8兆2000億円の日本株を買い越した。うち9割強が現物で約7兆8000億円の買い越し。現物の買い比率が高かったことから、ヘッジの円売り需要も相応に強かったとみられる。

海外市場に上場する日本株の上場投資信託(ETF)への買いも膨らんだ。QUICK・ファクトセットによると、米ブラックロックが運用する海外上場で運用資産残高(AUM)が最大の日本株ETF「iシェアーズMSCIジャパン」には過去1年で約44億ドルの資金が流入した。AUMは7割以上増え、160億ドルを超えた。

AUMが10億ドルを超える海外上場の日本株ETFはiシェアーズMSCIジャパンのほか「JPモルガンベータビルダーズジャパン」、「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド」、「フランクリンFTSEジャパン」の計4つだ。過去1年で4つのETFのAUMは75%増加した。

この動きは、日本市場に初めて参戦した海外勢が多かったことをうかがわせる。海外上場の日本株ETFは、国内上場に比べ信託報酬が格段に高く、日本市場に簡単にアクセスできない海外勢が日本株を購入する際に使うことが多いためだ。

株買いとセットの円売りの持ち高は大きく膨らんでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると投機筋の売買動向を示す「非商業部門」の円の売り越し幅は2月末に、2017年11月以来の高水準に膨らんだ。

日銀による政策修正の可能性が高まるなか、今後海外勢はどう動くのか。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「追加利上げに関するコミュニケーションがより重要となる」と指摘する。

日銀は金融政策の正常化において、大きな不連続性の発生を回避する姿勢をみせている。早期に追加利上げを実施する必要性は乏しく、緩和的な金融環境が続くとのメッセージを出す「ハト派的な利上げとの印象を市場に与えれば、円高は短期間にとどまる」(野村の後藤氏)。

15日も日銀による政策修正の織り込みが進んできたことに加え、「ハト派」への期待が株の下げ渋りと円安につながったとの見方が多い。会合後はむしろ、ジャパン・トレードが加速する可能性もありそうだ。

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