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日銀、25日から決定会合 市場予想は「現状維持」多く

日経新聞より引用

日銀は25〜26日に金融政策決定会合を開く。3月会合でマイナス金利を解除したばかりでもあり、市場で今会合での追加利上げを見込む声は少ない。ただ急速に進む円安がインフレの再燃につながるリスクはくすぶっており、日銀は金融市場の動向や賃金と物価の好循環の強まりを慎重に見極める意向だ。

日銀に追加利上げへの圧力をかけているのは為替相場だ。3月会合時から19日までに為替市場で円は対ドルで約5円、円安方向にふれた。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測の後退で、日米の金利差が拡大したままの状況が長引くとの見方が、円売り・ドル買いを促している。

ただ、現時点では市場の大半が4月会合での「現状維持」を見込んでいる。QUICKが15日に発表した4月の月次調査(外為)によると、日銀が追加利上げに動くタイミングは年内は10月(22%)が最多で、9月(18%)が続いた。4月の利上げを見込む声はわずか2%だった。

市場には3月会合に続いて日銀が利上げに動くと「金融政策が為替に振り回されているとの印象を与えてしまいかねない」との見方がある。

もう一つの焦点が、4月会合で示す経済・物価情勢の展望(展望リポート)だ。複数の関係者によると、初めて示す2026年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)の前年度比上昇率は2%程度となる見通しだ。賃金・物価の好循環が持続し、安定的な物価上昇が続くと見込む。5年連続で2%目標近傍のインフレが続くことになる。

1月会合時点で2.4%の上昇と見込んでいた24年度見通しも上方修正するか議論する。長引く円安や原油高、政策要因などが上昇圧力だ。展望リポートでは3月の春季労使交渉の集計結果や、賃金と物価の好循環の進捗分析なども示すとみられる。

日銀内には足元の円安の影響について「基本的に一時的要因で、基調インフレに影響しているとはみていない」との声が多い。一方で「長期化すれば、期待インフレ率など様々な経路を通じて基調インフレを押し上げうる」との見方もある。

植田和男総裁は19日、米ワシントンでの記者会見で、円安が輸入物価の上昇をもたらし、日銀が追加利上げ判断のうえで重視する「基調的物価上昇率に影響を与える可能性はありうる」と述べた。そのうえで「無視できない影響があれば金融政策の変更もありうる」との見方を示した。

円安が注目される環境下で、植田総裁が4月会合で今後の政策運営についてどう発信するかにも注目が集まる。追加利上げ後は多くの銀行で、変動型住宅ローン金利などの指標となる短期プライムレート(短プラ)を引き上げる可能性が高い。家計への影響が大きいだけに日銀は慎重姿勢を崩していない。

追加利上げの判断は中小企業の賃上げ動向やサービス価格の動きなどが焦点となる。日銀は基調的なインフレ率が2%に向けて上昇していくかを見極める意向だ。

植田総裁は3月会合後の国会答弁で、長期国債の買い入れについて「将来的にはもう少し買い入れ額を減らしていきたい」との方針を示した。現状はマイナス金利解除後の市場の反応を見極めているとみられる。3月会合で決めた買い入れ方針を踏襲しつつ、四半期ごとの国債買い入れ予定の範囲内で減額に動く可能性もある。

(五艘志織、大島有美子)

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