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続く銀行不安、景気への影響探る市場(NY特急便)

NQNニューヨーク 川上純平

24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比132ドル高の3万2237ドルで終えた。欧州の主力銀行株安を受けて米銀株にも売りが及んだことから上値は重く、下げる場面もあった。米欧の金融システム不安への警戒感は依然強く、投資家は慎重姿勢を維持している。

欧州の銀行経営や収益悪化への懸念から24日はドイツ銀行の株価が大きく下落した。スイスの金融大手UBSが経営不振に陥ったクレディ・スイス・グループの救済買収に動いても銀行不安は続いている。米連邦準備理事会(FRB)など世界の主要中央銀行が相次いで利上げに動き、インフレ対応を優先する姿勢を示したのも金融システム不安をあおった。米銀ではJPモルガン・チェースウェルズ・ファーゴの下げが目立った。

金融不安の収束時期が読めないなか、投資家の関心はそうした先行き不透明感がどの程度景気に悪影響を与えるかにも向かっている。金融機関が流動性を確保するために貸し出しに慎重になり、企業活動が冷え込むと警戒されている。米景気の下振れ要因になるとみられており、経済成長率の見通しを引き下げる調査機関もある。

シリコンバレーバンク(SVB)の破綻などここ2週間ほどの出来事を織り込んだ経済指標や統計はまだ少ないが、その影響を探る手掛かりになりそうなのがシティグループの消費支出調査だ。同社のクレジットカードを通じた支出は3月第3週に前年同期比10.3%減少した。減少幅は同月第2週の6.8%から拡大。新型コロナウイルスの感染拡大初期にあたる2020年4月以来の弱さという。家電や家具などの減少が顕著で、インフレの継続や景気の悪化を見越して不要不急の支出を抑えようとする消費者の姿が浮かび上がる。

シティグループは「銀行が混乱してから初めてのデータとなり、金融不安が消費に与える悪影響が確認できた」と分析している。24日の米株市場ではダウ平均を構成する銘柄のうち、消費関連株である映画・娯楽のウォルト・ディズニーとクレジットカードのアメリカン・エキスプレスが2%ほど下落した。スポーツ用品のナイキなども下げて終えた。

機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数の業種別騰落率をみると、24日は生活必需品でない裁量支出の「一般消費財・サービス」が0.4%安と全業種中で最も下落率が大きかった。市場では「金融不安から銀行が貸し出し基準を急激に厳格化すれば消費の下振れリスクが高まる」(バンク・オブ・アメリカのアディティア・バーベ氏)と警戒されている。

消費や景気の見通しに自信を持てず、株式相場が下落すると予想する投資家は多い。米個人投資家協会(AAII)の週間調査によれば、今後6カ月の株式相場に「弱気」であると答えた個人の割合は48.9%と、今年の最高水準に上昇した。

金融不安はさらに広がるのか、先行きは不透明だ。資金は米国債など相対的に安全な資産に向かいやすくなっている。市場関係者は当面、株価の下振れに対する警戒を緩めることはできないだろう。

(NQNニューヨーク=川上純平)

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