【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、初の10会合連続の利上げを決めた。利上げ幅は前回7月と同じ0.25%で、政策金利(中銀預金金利)は単一通貨ユーロが誕生した1999年以降で最高になる。欧州経済の失速懸念が強まるなかでも、インフレ抑制へ追加の金融引き締めが必要と判断した。
ECBは主要政策金利を4.50%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を4.00%に引き上げる。マイナス金利政策を解除した2022年7月から累計の利上げ幅は4.50%で過去最速ペースになる。
公表した声明文では「インフレ率は低下し続けているものの、高すぎる状況がかなり長引きそうだ」との文言を引き続き盛り込んだ。
一部の理事会メンバーは景気安定のため利上げの打ち止めを視野に入れ、市場でも見送り観測が浮上していた。ラガルド総裁も「データ次第」で「利上げするかもしれないし据え置くかもしれない」と見送る可能性に言及してきたが、景気の安定よりインフレ抑制を優先した。
8月のユーロ圏の消費者物価指数は伸び率が前年同月比5.3%と、前月から横ばいだった。22年10月につけたピークの10.6%から伸び率は半分に鈍化したものの米国の3.7%より高く、政策金利が最高水準にあっても年内は高止まりする見通しだ。変動の大きい食品やエネルギーを除いても5.3%と11カ月連続で5%台にある。