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世界の成長率24年に2.7% 中国減速響く、OECD下方修正

日経新聞より引用

経済協力開発機構(OECD)は19日、2024年にかけて世界経済が減速するとの見通しを示した。各国の金融引き締めに加え、中国の不動産市場の構造問題が響き、24年の成長率を2.7%に下方修正した。中国経済が急減速するシナリオでは世界の成長率を最大1ポイント超、下押しすると試算した。

OECDは23年の世界経済成長率を6月時点の予測より0.3ポイント高い3.0%に引き上げた。23年前半の成長率は年率換算で3.2%で、年後半から減速が始まると見込む。

24年の成長率は同0.2ポイント低い2.7%に引き下げた。6月時点で24年は23年よりやや景気が上向く想定だったが、逆に減速することになる。

OECDは直近の世界経済については「予想を上回る力強さ」と評価した。エネルギー価格の落ち着きや、中国の新型コロナウイルスの規制解除後の経済活動の再開が貢献している。米国では引き続き消費が堅調だったほか、日本では賃金上昇とサービス輸出の拡大が追い風だ。

一方、ユーロ圏と英国は22年のエネルギー価格高騰の影響が尾を引き、経済活動が弱まっている。

中国経済はすでに「モメンタムを失った」とし、23年成長率を前回予測より0.3ポイント低い5.1%、24年は同0.5ポイント低い4.6%に下方修正した。足元では経済再開の効果が早くも薄れ始めているほか、「不動産市場の構造的問題が引き続き内需の重荷になっている」という。

今後はこれまでの各国の金融引き締めによる成長を抑える影響が徐々にあらわれるとみる。20カ国・地域(G20)のインフレ率は23年に6%、24年に4.8%と少しずつ下がるものの、「多くの国で中銀の目標を上回る状態が続く」。

金利の高止まりがスイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営危機のような「金融システムのストレス」を招くリスクにも言及した。

景気の先行きについては「依然下振れリスクのほうが大きい」との見解を示した。インフレ率が再び上昇すれば政策金利が高止まりし、債務負担の増大や失業率の上昇、倒産増加につながる可能性がある。

OECDは中国経済が急減速するケースも分析した。同国の国内需要が想定シナリオに比べ3%減少し、消費が1%、企業投資が5%、住宅投資が8%ほど落ち込んだ場合、世界の国内総生産(GDP)成長率が0.6ポイント下押しされるという。世界の貿易量も1.25ポイント低下し、特にアジアや北米で影響が大きい。

中国経済の悪化は株価の急落など市場の混乱につながる可能性がある。株価が10%下落するなど世界的な金融市場の調整を伴う「複合ショック」の場合、世界のGDP成長率は1.1ポイント下がり、貿易量も3ポイント弱押し下げる。経済の急減速はデフレ圧力を生み、世界のインフレ率を0.4ポイントほど低下させると試算した。

世界経済の強さを取り戻すため、OECDは「世界貿易の復活」を挙げた。特に18年以降、各国が様々な貿易障壁を増やし、機会損失を生み出していると説明した。ルールに基づく開放的な国際市場は「長期的な繁栄と生産性向上の重要な源泉だ」と訴えた。

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