投資情報ななめ読み

長期金利0.705%、円一時145円に 円安けん制強化の見方

日経新聞より引用

長期金利の先高観が強まっている。指標となる新発10年物国債の利回りが11日、2014年1月以来の水準となる0.705%を付けた。日銀の植田和男総裁がマイナス金利政策解除の可能性に言及したためだ。円安へのけん制を強めたとの見方もある。

植田氏は9日付の読売新聞のインタビューで、2%の物価目標の達成が可能と判断すればマイナス金利を解除する選択肢もあるとの考えを明らかにした。長期金利についても基本的に上昇(債券価格は下落)を容認する姿勢を示した。

為替政策は財務省が所管し、日銀は直接の操作対象にしていない。しかし植田氏は7月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正した際に、為替相場の変動を抑える目的についても言及した。

このため市場では植田氏のマイナス金利政策の解除を巡る発言について「表向きは言えないだろうが、円安を止める目的があった」(JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長)との解釈が支配的だ。

実際、通貨当局は円安に対する危機感を強めている。

鈴木俊一財務相や神田真人財務官は前の週に円安について「あらゆる選択肢を排除せず適切な対応を取りたい」と述べ、口先介入のレベルを引き上げていた。

そこに植田氏のマイナス金利の解除を巡る発言が伝わった。一連の流れを受けて、市場では政府・日銀が歩調をあわせて円安を強くけん制したとの見立てが浮上した。

円相場は11日、一時1ドル=145円台後半まで上昇した。前の週には147円台後半と10カ月ぶりの安値を付けており、その水準からは2円ほど円高・ドル安方向に振れた。植田氏の発言で、円安にはいったん歯止めがかかった形だ。

日銀は11日、幅広い担保を裏付けとして資金を供給する「共通担保資金供給オペ(公開市場操作)」を14日に実施すると発表した。金利を抑制する効果が最も強い直接的な国債買い入れを避けたのは、金利の抑制よりも円安の回避を重視したとの見方もある。

米連邦準備理事会(FRB)は当面引き締め的な金融政策を続けるとみられている。日銀が仮にマイナス金利を解除しても利上げ幅は小幅にとどまり、今後も円安が進む可能性は残る。

短期トレード向きの「DMM FX」

-投資情報ななめ読み