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長期金利が11年ぶり高水準 インフレ期待が押し上げ

日経新聞より引用

20日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.975%と11年ぶり高水準を付けた。根底には物価に上昇圧力がかかり続けるとの見方があり、日銀の政策修正を見込んだ債券売りが出やすくなっている。金利上昇を受けて国内勢の需要は根強いものの、節目の1%を超えて金利が上昇する可能性も意識され始めた。

財務省は20日、10年物の物価連動国債入札を実施した。応札額を落札額で割った応札倍率が4.27倍と、2013年に物価連動債の発行を再開して以降では最も高い。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「国内で今後も物価が上昇していくとの見方が広がっており、物価連動債への需要が集まった」と話す。

落札利回りから市場参加者が見込む今後10年間の予想物価上昇率(ブレーク・イーブン・インフレ率=BEI)を算出すると1.5%に達した。市場参加者が今後10年間、毎年平均1.5%のインフレ率が続くと見込んでいることを示す。日本がデフレから脱却し、大きく変わると想定し始めたことがうかがえる。

日本証券業協会が20日発表した4月の公社債投資家別売買動向によると、国債売りに回っているのは海外勢だ。10年債など長期債の売越額は1兆1509億円と6カ月ぶりの大きさだった。もっとも22〜23年に日銀の政策修正を見込んで国債売りを膨らませていた時期の3兆〜4兆円と比べると、売越額は限定的との見方もある。

金利上昇を受けて国内勢の買い意欲は強い。4月には海外勢と「その他」を除くすべての主要投資主体が長期国債買いに回った。長期債の買越額は都銀は5100億円と22年10月以来、地銀は4000億円と22年1月以来の大きさとなった。

日銀が国債買い入れを減らすとの思惑も金利上昇に拍車をかける。日銀が13日に定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で残存期間「5年超10年以下」の購入予定額を減らしたためだ。

パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長は「6〜7月にかけて、日銀が本格的な国債買い入れの減額や追加利上げに踏み切るのではないかとの観測が一段と広がった」と指摘する。

目先の焦点は長期金利がアベノミクス下での最高水準である1%を付けるかどうかだ。松川氏は「節目の2%を超えて上昇する30年債利回りのように、長期金利も1%を超えてしばらくとどまる可能性はある」としつつ「長い目で見れば1%台では需要が集まり、金利上昇はこの水準で止まると想定している」と話す。

もっとも、国内の金利上昇は円高要因にはなっていない。20日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=155円90銭台と前週末比で30銭程度の円安・ドル高水準を付ける場面があった。

一因は米国と日本の金利変動幅の違いだ。為替相場と連動性の高い2年物国債利回りをみると、日本では3月末の0.175%から0.34%と0.165%の上昇にとどまるのに対し、米国は4.62%から4.82%と0.2%も上がった。米国の方が金利上昇幅が大きく、円安・ドル高に進みやすい。国内実需勢にドル買い需要が根強いことも、円安・ドル高につながっている。

予想物価上昇率の上昇を伴いながら長期金利が上昇してきたことは、日本でもインフレが根付き「金利のある世界」に戻ると市場が織り込みつつあることを映す。低金利に慣れた日本の金融市場も変革を迫られつつある。

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