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2024年は選挙の年 市場注目の世界イベント総点検

日経新聞より引用

2024年も23年に続き、世界の政治経済が大きく揺れ動く可能性が高い。米国や台湾など世界で重要な選挙が実施されるうえ、日米の金融政策が転換点を迎えるためだ。株式や為替もボラティリティー(変動率)が一段と大きくなるとの見方は多く、警戒が必要だ。市場に大きな影響を与える24年の政治・金融政策関連の重要イベントを点検しよう。

米大統領選・台湾総統選が焦点に

「史上最大の選挙の年」。英エコノミスト誌は2024年をこう評する。1月の台湾総統選挙を皮切りに、インドネシア、ロシア、韓国など主要国で大統領や議会の選挙が相次ぐためだ。

最も注目すべきは11月の米大統領選挙だ。その結果は米中関係やロシア・ウクライナ戦争、イスラエルとハマスの紛争といった世界情勢の行方を大きく左右する可能性が高い。

米大統領選の本格的な幕開けは3月5日。テキサス州やカリフォルニア州といった重要な州で、民主・共和両党の大統領候補を選別する予備選挙を一斉に実施する「スーパーチューズデー」を迎える。7〜8月に開かれる党大会では、民主党はバイデン大統領、共和党はトランプ元大統領の指名が有力視されている。

そして11月には大統領選の本番を迎える。各種調査ではバイデン氏、トランプ氏の支持率は数ポイント差で拮抗している。トランプ氏はウクライナへの支援継続に消極的な態度をみせるなど、これまでの米国の政策を大きく変える姿勢を示している。市場ではトランプ氏の返り咲きを意味する「もしトラ」という言葉も聞かれ、世界情勢の動揺が経済・株価に波乱を及ぼすことへの警戒感が強まっている。

米大統領選に次いで重要とみられるのが、年明け早々に開かれる台湾総統選挙だ。直近の調査では与党・民主進歩党が優位に立っているが、予断を許さない状況だ。

民主進歩党は厳しい対中姿勢を示す一方、野党・国民党は親中姿勢を鮮明にしている。選挙結果は中台関係を大きく左右するだけでなく、日米と中国、台湾の関係にも大きな影響を与える。選挙後に中台関係の緊張が高まったり、米中関係が一段と悪化したりすれば、中国で事業展開する日本企業の業績や株価などにも影響が及ぶ可能性がある。

24年は主要国の金融政策にも注目が集まる。中でも注目されるのが米連邦準備理事会(FRB)の動向だ。新型コロナ禍後の高インフレが沈静化してきており、市場では早期の利下げ転換への期待が根強い。

金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)は24年前半に4回の開催が予定されている。金利先物の値動きから金融政策を予想する「Fedウオッチ」(23年12月28日時点)によると、24年1月のFOMCでの利下げ確率は2割未満だが、3月だと8割以上だ。

早期利下げの有無は日米の株価を大きく左右する。パウエル議長など要人の発言も含め、動向を注視する必要がある。

日本は新NISA・賃上げに期待

24年の日本は大きな転換点を迎える。代表例が1月に始まる、新しい少額投資非課税制度(NISA)だ。非課税期間の恒久化や投資枠の拡大により従来のNISAより使い勝手が高まるため、「日本の個人投資家が育つ契機になるかもしれない」(国内のファンドマネジャー)と期待する市場関係者は多い。

春季労使交渉も日本経済の転換点になる可能性がある。高水準の賃上げが継続した場合、長年続いたデフレからの本格的な脱却につながるためだ。

連合が24年の春季労使交渉で掲げる目標は「5%以上」。30年ぶりの高い賃上げ率を達成した23年を上回る水準だが、実現できれば消費刺激にもつながる。小売り関連などを中心に、日本株にとってプラス材料になり得る。高水準の賃上げが実現すればインフレ圧力が高まるため、日銀のマイナス金利政策解除への思惑も強まりやすい。

物流業や建設業などに時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」も、関連業界にとって大きな転換点になりそうだ。規制によって人手不足が一段と深刻になる可能性が高いだけに、荷主を含めた多くの企業は対策を急いできた。テクノロジーの活用などでうまく乗り切れる企業と、そうではない企業の格差が生じそうで、業績や株価の明暗が分かれる展開も予想される。

市場関係者の大胆予想 米大統領がバイデン氏・トランプ氏以外に?

様々なイベントが目白押しの24年。金融市場や政治経済はどうなるのか、市場関係者へのアンケート調査をもとに「大胆予想」をまとめた。

「バイデン氏とトランプ氏以外の大統領が選ばれる」。24年最大の政治イベントである米大統領選を巡り、今回のアンケート調査ではこんな指摘が目立った。バイデン氏は健康問題、トランプ氏は前回大統領選の手続き妨害など複数の裁判を抱えるためだ。

代わりに共和党では元国連大使のニッキー・ヘイリー氏、民主党はカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏の勝利を予想する声があった。市場では「トランプ氏復活」への懸念が強いだけに、この大胆予想が当たれば株式相場にはプラスかもしれない。

米大統領選を巡っては、ウクライナへの支援継続の是非が争点の1つ。そのウクライナが「ロシアに敗北する」との予測も出た。前年の調査では「ロシアが敗れる」との見方が多かっただけに、欧米の支援疲れへの懸念が強まったといえる。

ウクライナ戦争の行方は中台情勢にも影響を与えそうだが、アンケートでは「24年中に中国の台湾侵攻が起きる」との声は2人だけにとどまった。23年11月に米中首脳会談が実現し、国防対話の再開など緊張緩和に向けた取り組みが見られたためだろう。

一方で、中国を巡っては景気減速などの痛みが強まるとの見方は増えている。ベアリングス・ジャパンの溜学執行役員運用本部長は中国でiPhoneやテスラ車の売り上げが激減しかねないと警戒。「脱グローバル化の痛みが需要減少に表れる」と予測する。

日本の政局についての予想も多かった。自由記述で回答を寄せた51人のうち、実に7人が岸田文雄首相の交代について具体的に言及しており、もはや「大胆予想」とは言いにくい。

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