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中国金融、膨らむ火種 不動産大手・恒大が米で破産法申請

個人保有の信託、一部償還停止

日経新聞より引用

【上海=土居倫之】中国で金融リスクの火種が膨らんでいる。経営再建中の中国恒大集団は17日、米国で連邦破産法15条の適用を申請した。不動産などで運用し、個人や企業が投資目的で保有する信託商品の一部では償還停止が表面化した。不動産不況を発火点に金融システムへの不安が広がっている。

破産法15条は外国籍の企業を対象とし、適用により訴訟や差し押さえを回避して米国内の資産を保護できる。6000億元(約12兆円)を超える恒大の有利子負債のうち、米ドルと香港ドル建ては27%にのぼる。

恒大は18日、破産法の申請は債務再編の一部分であり「破産申請ではない」とコメントを発表した。28日に予定する外貨建て債務再編の協議を有利に進める狙いだ。

中国では不動産最大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が2023年1~6月期に450億~550億元の最終赤字見通しを発表するなど、開発会社が軒並み苦境に陥っている。日本経済新聞の集計では、不動産販売上位10社に恒大を加えた11社の負債総額は22年末時点で10兆元を超え、中国国内総生産(GDP)の1割近くにのぼる。

不動産不況の影響は金融当局の監督が相対的に緩いシャドーバンキング(影の銀行)にも波及した。信託大手、中融国際信託が運用する信託商品の一部が償還停止となり、投資家が支払いを求めて殺到した。

中融国際は顧客から預かった信託資産6293億元の11%を不動産、8.5%をインフラ関連で運用している。中融国際の主要株主で炭鉱業や金融業を手掛ける民営複合企業、中植企業集団に資金の一部がまわっていた可能性も指摘され、中植集団の資金繰り問題が浮上する。

中国の信託商品は預かり資金を企業融資や債券などの形で運用し、損失が出ても信託会社は補填しないのが原則だ。多くの個人投資家が保有する信託商品で損失が広がれば消費不振など一段の景気減速を招きかねない。

中国の不動産市況は中国政府が20年夏に導入した融資規制によって急速に悪化した。資金不足となった開発会社がマンション建設を途中で放棄する事例が頻発し、消費者の住宅購買意欲が冷え込んだ。新築販売面積は1~7月に前年同期比4.3%減と低迷が続く。

民生証券研究院の推計によると、中国の家庭1戸当たり住宅保有数は24年に節目の1戸を超え、1.02戸となる。中国は人口減とともに家余り時代に突入し、これまでのような値上がりを見越した投資目的の需要は見込みにくくなる。

中国工商銀行など四大国有銀行の22年末の不動産業界向け不良債権残高は前年比6割増え、直近10年で最大になった。不動産販売の落ち込みが激しい地方に拠点を置く非上場の中小・零細銀行の状況はさらに厳しいとみられる。地方政府傘下のインフラ投資会社「融資平台」が抱える隠れ債務も膨らむ。

金融当局は市場の動揺を抑えるため対応に追われる。中国人民銀行(中央銀行)は17日に公表した四半期ごとの金融政策執行報告で「一部企業が経営危機に陥っている」と認めたうえで、リスク解消と防止を強調した。

中国は不動産不況に伴う景気減速に対応するため緩和的な金融政策を打ち出している。21日に発表する事実上の政策金利である8月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を引き下げる可能性が高い。

米国との金利差拡大で人民元は売り圧力が強まり、17日の上海外国為替市場で一時1ドル=7.318元と22年11月に付けた安値(7.328元)に迫った。人民銀は過度の元安を防ぐため、上海市場で取引の目安となる「基準値」を18日に7.2006元と元高・ドル安方向に設定した。

経済の安定を重視する習近平(シー・ジンピン)指導部は国内での法的整理を通じた抜本的な不動産開発会社の経営再建に消極的だ。問題を先送りすれば水面下で不良債権を膨らませ、中国経済の将来のツケをより大きくしかねない。

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