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ユーロ圏GDP年率1.1%増、4〜6月 7月物価5.3%上昇

日経新聞より引用

【ベルリン=南毅郎】欧州連合(EU)加盟27カ国のうち20カ国が参加するユーロ圏の4〜6月期の実質域内総生産(GDP)は速報値で前期比0.3%増だった。プラス圏への浮上は3四半期期ぶりで、成長率は年率換算で1.1%だ。物価高や急激な利上げが重荷となり、米国経済より持ち直しの鈍さが目立った。

EU統計局が31日に発表した。市場予想の前期比0.2%増を小幅に上回った。米国は年率換算で2.4%増で、個人消費や設備投資の持ち直しにより、景気後退懸念が弱まっている。

ユーロ圏は2022年10〜12月期が0.1%減、23年1〜3月期がゼロ%になった。従来の公表値では2期連続のマイナス成長と、機械的に景気後退とみなすテクニカル・リセッションに陥っていたが、見直された。

国別では欧州最大のドイツが前期比ゼロ%と横ばいで、フランスが0.5%増だった。イタリアは0.3%減、スペインは0.4%増だった。ユーロ圏を含むEU27カ国全体では横ばいで、景気低迷が続いている。

欧州経済の重荷になっているのが根強いインフレだ。ユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比の伸び率が4月の7.0%から6月に5.5%まで鈍化したものの、米国(3.0%)と比べて高止まりしている。

特に低所得層ほど負担感が大きい食品など生活必需品の高騰が厳しく、家計は節約志向が根強い。ユーロ圏の小売売上高は直近5月まで2カ月連続で前月比ゼロ%の横ばいだった。食品などに絞ると4カ月連続でマイナスに沈んだ。

貿易もさえない。5月の貿易収支は3億ユーロ(470億円)の赤字だった。資源調達を輸入に頼ってきたユーロ圏ではウクライナ危機によるエネルギー高で所得流出が膨らんだ。貿易赤字額は縮小してきているが黒字基調には反転していない。

先行きの不透明感も強まっている。

31日発表の7月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で5.3%上昇した。伸び率の鈍化は3カ月連続だ。価格変動の大きいエネルギーや食品を除くと5.5%で、サービスは5.6%に加速するなどインフレ基調は衰えていない。

国別の伸び率はドイツが6.5%でフランスが5.0%。スペインは前月の1.6%から2.1%に再び加速した。ユーロ圏20カ国のうち15カ国で鈍化した。最も高かったのはスロバキアの10.2%で、最も低かったのはベルギーの1.6%だった。

企業の景況感を示すユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は5月まで好不況の節目である50を上回っていたが、6月は49.9、7月は48.9まで悪化した。

景気回復のけん引役だったサービス業が失速し、製造業はウクライナ侵攻で混乱したサプライチェーン(供給網)が改善しても新規受注が落ち込む。

国際通貨基金(IMF)は7月に公表した経済見通しで、ユーロ圏の23年の実質成長率を0.9%と見込む。ドイツはマイナス0.3%の見通しだ。主要7カ国(G7)で唯一、通年で景気後退に転落する恐れがある。

欧州中央銀行(ECB)は次回9月会合での利上げの是非を慎重に判断する。ラガルド総裁は「データ次第」としながら「利上げするかもしれないし据え置くかもしれない」と利上げを見送る可能性にも言及している。

利上げを見送った後で再開に動く可能性もある。ラガルド氏は仏紙フィガロとのインタビューで「9月以降に利上げの一時停止があっても、必ずしも決定的なものではないだろう」と発言した。

過度な金融引き締めになれば景気後退を招く懸念もあるだけにECBは景気と物価の安定両立へ難しい判断を迫られる。

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