日経新聞ななめ読み

[社説]米景気の軟着陸への展望に死角はないか

日経新聞より引用

米連邦準備理事会(FRB)が想定を超える経済の強さに対応し、金融引き締めの状態を長く保つ見通しを示した。年内で利上げを打ち止めにするが、利下げへの転換は遅らせる道筋を描く。経済・物価の不確実性は高く、現状や経済構造の分析、金融情勢の点検に一段と注意を払う必要がある。

20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を22年半ぶりの高水準で据え置いた。FOMCメンバーの新しい見通しでは年内あと1回の実施で利上げを終えるという想定は変えなかった。

焦点は利下げへの転換時期だ。2024年中に2回(0.5%分)の利下げを見込み、6月の前回見通しの4回(1.0%分)から減らした。それだけ利下げの開始が遅れ、金融引き締めが長引く。

パウエルFRB議長は「誰もが予想していたよりも経済活動が力強い」と背景を語った。

経済・物価の見通しでは23、24年の実質成長率を上方修正したほか、失業率も引き下げた。インフレ率は25年以降に目標の2%程度に落ち着く姿だ。景気の軟着陸への展望を明確に示し、物価安定との両立に自信を深めつつある。

景気が強いなかでインフレが減速していくというシナリオには死角もあるはずだ。経済の強さが本物なら、望ましい政策金利の水準は想定よりも高いかもしれない。金融引き締めの一段の長期化を迫られる可能性もある。

市場では夏以降、米景気をふかしも冷やしもしない政策金利の水準を示す「中立金利」の上振れを巡る議論が高まっている。

今回、FOMCメンバーが思う中立金利に相当する「政策金利の長期見通し」は中央値こそ2.5%で横ばいだったが、予想値を引き上げる動きもあった。パウエル氏も上昇の可能性を認めた。

政策金利の最終的な落ち着きどころを大きく左右するだけに、専門家も含めた精緻な分析や議論、積極的な情報発信が欠かせない。

一方で景気の急減速と物価高が重なるリスクも無視できない。

最近の原油再騰はガソリン高などを通じて一段の物価高や消費減退につながりうる。全米自動車労組(UAW)のストライキも、情勢次第で賃金・物価や経済活動に広範な影響を及ぼしかねない。

FRBはさまざまなリスクに目を配り、経済や市場の混乱を避けつつ景気の軟着陸と物価の安定を両立できる道を探ってほしい。

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