投資情報ななめ読み

物価高、なお山越えず 加速25カ月

1月4.2%上昇、41年ぶり高水準

1月の消費者物価の上昇率は前年同月比で4.2%と41年4カ月ぶりの水準となった。2022年12月(4.0%)からさらに高まり、加速基調の期間は25カ月に達した。2度の石油危機より2倍長い。ウクライナ危機や円安などに時間差で見舞われたためだ。企業がコスト上昇分を価格転嫁し、賃上げにつなげる好循環をつくれるかがデフレ脱却を左右する。

総務省が24日発表した23年1月の消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年比4.2%上昇した。第2次石油危機の影響があった1981年9月(4.2%)以来の高水準だ。エネルギーは伸び率が縮小したものの14.6%となお高い。生鮮を除く食料は7.4%と横ばいだった。

宿泊料の影響が大きい。23年1月は3.0%下落で22年12月(18.8%下落)からマイナス幅が縮んだ。政府の観光支援策「全国旅行支援」の割引率が縮小したためだ。

モノとサービスに分けるとサービスは1.2%上がった。消費増税の影響を除くと1998年4月(1.3%)以来の伸び率だった。

内閣府は原油の国際相場が上昇に転じた月を起点に、消費者物価の伸び率がピークをつけるまでの期間を分析している。今回は起点となる20年12月以来、インフレ基調が続き、23年1月も伸び率が拡大したことで期間は25カ月となった。第1次・第2次の石油危機や、2007~08年のインフレ局面ではいずれも「約1年で物価上昇のピークを迎えた」(内閣府)。

今回の長期化は、複数のインフレ要因が時間差で発生したことが原因だ。20年末からの原油価格の上昇は世界経済が新型コロナウイルス禍から正常化に向かったことで始まった。22年2月にウクライナ危機が起き、22年後半には円安による輸入コスト上昇もあった。

2月の消費者物価は政府の電気・ガスの負担軽減策により上昇率が鈍化する見通しだ。内閣府は軽減策に1ポイントの物価抑制効果があると試算する。今回の物価高局面は1月がピークとなる可能性が高い。食品などの値上げ予定は今後も多く、インフレ圧力はなお強い。

値上げに慎重な企業行動に変化の兆しがある。大和総研は消費者物価の基礎統計となる小売物価統計から、価格改定頻度が低い品目を集めた「粘着価格指数」を試算している。サービスなどが中心で、いったん上がると下がりにくい特徴がある。米アトランタ連銀がインフレ基調を分析する指標として公表しており、その手法を参考にした。

同指数の前年同月比は2000年代は長くゼロ%近辺で推移したが、22年11月に2%を超え、23年1月は2.3%となった。1992年12月(2.4%)以来、30年1カ月ぶりの水準だ。

すしやハンバーガーなどの外食が上昇をけん引した。大手チェーンは原材料費や人件費の増加を理由に相次ぎ値上げに踏み切っている。大和総研の久後翔太郎シニアエコノミストは「先行きの物価高を織り込み、この機会に転嫁する企業が多い」と指摘する。

デフレからの脱却には、適正な価格転嫁が広がり、さらに賃上げによって消費を下支えする好循環が必要だ。

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