FT報道
【パリ=北松円香】スイスの金融大手UBSが、経営不振が続く同業のクレディ・スイス・グループに対する買収交渉を進めていることがわかった。17日に英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。クレディ・スイスの事業全体あるいは一部を対象として交渉しているという。
FTは関係者の話として、UBSとクレディ・スイスの取締役会が今週末にそれぞれ、買収について検討する予定だと報じた。スイス国立銀行(中央銀行)とスイス金融市場監督機構(FINMA)が買収交渉を後押ししており、米英の当局にも2行の統合がクレディの信用力の崩壊を防ぐための「最善策」であると伝えたという。
スイス中銀は2行に対し、週明けに金融市場の取引が始まる前に明快でわかりやすい合意に至るよう求めているもようだ。
クレディ・スイスは近年不祥事が続いたうえに投資銀行部門が不振で、人員削減や事業分離を伴う経営再建を進めていた。収益の先行きに対する不安感にシリコンバレーバンク(SVB)の破綻による金融市場の動揺が追い打ちをかけ、クレディの株や債券を売却する動きが強まっていた。他の金融機関がクレディとの取引を制限し始めたとも報じられていた。
15日にスイス中銀とFINMAが共同で声明を発表し、必要に応じて資金供給で支援するとしていた。その後もクレディ・スイスの株価は不安定な動きで、市場の不安が払拭されていないことを示した。