1)FOMC後の会見で、「金融引き締めはまだ十分な効力を発揮していない。」
2)継続的な政策金利の引き上げ方針示した。
3)FOMCは0.25%引き上げることを決めた。
4)今後も引き上げることが適切
インフレは鈍化しつつあるが、満足するのは早い
1)米経済は2022年著しく減速した。
2)実質国内成長率(GDP)が長期的な中央値の1%下回った。
3)消費と生産は緩やかに上昇。
4)個人消費は拡大。
5)住宅ローン金利は高止まり、住宅市場は弱まった。
6)高金利は企業による設備投資の重荷。
7)労働市場は非常に逼迫。
8)失業率は50年ぶりの低水準。
9)賃上げ圧力も続いている。
10)半面、労働受給バランスは依然としてバランスを欠いている。
11)労働需要が供給を大幅に上回る状況はなお続いている。
12)労働参加率は1年前から横ばい。
13)インフレ率は長期的な物価上昇率の目標2%大きく上回っている。
14)個人消費支出物価指数は前同月比5%上昇。
15)変動の激しい食品エネルギーを除いたコアPCE4.4%上昇。
16)長期的な物価上昇率の予測値も固定されている。
17)過去3ヶ月の物価指標はインフレが鈍化しつつあることを示す。
18)我々は歓迎するが、満足するのはまだ早い。
19)FRBの金融政策は雇用の最大化と物価の安定が目標
20)利上げの効果は時間差で経済活動と物価に波及する。
21)利上げを減速することで、我々の目標へ向けて米経済を精査できる。
22)我々は目標を達成するまで引き締めを継続する。
労働市場は依然として逼迫
Q.過去3カ月ほどの間に賃金や消費の伸びが鈍化している一方で、失業率はなかなか上昇しない。インフレが低下するための失業率の見通しを変える必要があるか。
1)労働市場に打撃を与えることなく物価鈍化の兆しが出てきたことは良い。
2)鈍化してきたのは供給網が安定したことによるモノの物価が中心。
インフレの初期段階でしかない。
3)サービスセクターの物価上昇は続いている。
4)住宅関連サービスやその他サービス価格はまだ減速の兆しが見えない。
5)賃金は鈍化傾向にあるが求人数などは、高い。
6)労働市場は依然として非常に強い状況。
Q.失業率を大きく上昇させることなく、PCEの上昇率が鈍化している。FRBのブレイナード副議長は講演で、インフレ要因が賃金ではない可能性を示唆したが、どう考えるか。
1)3ヶ月という短い期間でみればPCEはかなり低い。
2)だがそれは、モノの価格が著しく下がっているため。
3)下落は一過性のものと考え、すぐにゼロに戻るとみている。
4)コア指数は23年半ばまでに4%になると予測している。
5)まだやるべきことが残っている。
6)金融サービスは労働市場の賃金にあまり左右されない。
7)飲食業にとっては労働市場が極めて重要であり、輸送サービスは
燃料の影響を受ける。
8)インフレを加速要因は多いが、労働市場全体のバランスが改善されない
限り2%水準に持続的に戻ることはないと考える。
サービスのインフレ、依然高い
Q.声明文ではインフレ動向について首尾一貫していないが、不透明要素が多いからなのか。
1)モノの価格は初めて低下傾向が見えてきた。
2)に住宅サービスはリース価格が近い将来低下するということで、下落がパイプラインに入っているという判断だ。
3)物価指標の6割を占めるサービス業はまだインフレ低下が見えていない。
4)このセクターの物価上昇はおそらくしつこく続く可能性があり、この部分の対策が必要とみている」
Q.歴史的に低い失業率にもかかわらず最近はインフレ率が下がってきている。今なお利上げが必要だと考えるのはなぜか。なぜここで利上げを停止して、数カ月様子をみて再び利上げするということをしないのか。
1)我々はこれまで4.5%金利を引き上げてきた。
2)金融引き締めの状態に到達するにはあと2〜3回の利上げが
必要だと考えている。
3)利上げが必要かといえば、インフレ率がまだ非常に高い
水準にとどまっているからだ。
4)(金融政策がインフレに効くまでの)時間差は考慮している。
5)我々はまだサービス分野への(金融政策による)影響を目にしていない。
6)我々は非常に不確実な世界にいる。(名目金利から予想インフレ率
を引いた)実質金利は現在プラスになっている。
7)我々はどの程度が十分に引き締め状態といえるかについて、
細かく判断しようとしている。そして我々は0.25%の利上げ
に減速した。
8)慎重に経済、インフレ、そしてディスインフレの進捗を見守るつもりだ」
Q.冒頭では、インフレが減速しているという決定的な根拠が必要だと言っていたが、どれくらいの期間で様子を見ていく必要があるのか。労働市場の需給が緩和され、実質的な進展が見られるようになる必要があるということか。
1)3月のFOMCまでに、あと2回の雇用統計と消費者物価指数の発表がある。
2)足元のデータでは賃金の伸びが下がってきているが、
依然として新型コロナウイルス流行前をはるかに上回る水準で推移している。
Q.最近の経済指標を踏まえ、12月時点のフェデラルファンド(FF)金利のピーク見通しは変わったか。
1)「12月時点のFF金利のピーク見通しの中間値は5〜5.25%としていたが、
3月の会合でその水準を改定する。3月までのデータを踏まえ、
必要ならその水準をさらに引き上げる可能性もある。
また、その逆もしかりだ」
不十分な引き締めはリスク大きい
Q.FF金利のピークの水準を引き上げる場合と引き上げない場合のリスクのバランスをどう見ているのか。
1)このリスクのバランスをとるのは非常に難しい作業だ。
2)我々の金融政策によるインフレ抑制が不十分で6〜12カ月後に
再びインフレ圧力が高まるリスクもある。
3)一方で引き締め過ぎのリスクもあるが、その場合は我々の
ツールを使うことができる。ただ、今の時点では4年ぶりの
高インフレ退治は終わっていないといえる」
4)「住宅を除いたサービスセクターは過去6〜12カ月間の
間に4%程度のインフレ率になっている。住宅サービス
セクターもまだインフレ低下に向かう最中でしかない。
インフレ退治に成功したと宣言することはまだできない」
Q.多くの指標が23年内に不況になると示唆している。景気後退の可能性は。
1)私は22年のように、かなり控えめなペースでプラス成長が続くとみている。
2)22年の(実質)GDP成長率は1%だったが、よいペースだと思う。
3)世界情勢は少し良くなってきている。労働市場は非常に強い。
4)インフレが収まれば、(消費者や企業の)心理も改善するだろう。
民間、政府部門ともに建設支出が多く、経済活動を支えるだろう。
これらの要因が今年のプラス成長を支える可能性は十分にある。
私のベースケースは、今年はプラス成長になるだろうというものだ」
Q.利上げを一時停止し、再開する可能性についての議論はあったか。FRB高官が最近の講演でその可能性を示唆したようだが。
1)FOMCは今が一時停止すべき時期とみなしていない。
2)インフレ率を2%まで下げるような十分な引き締め
効果を発揮するには、目標レンジ内での継続的な引き上げが
適切だと今後も考えている。我々は3月に(政策金利の見通しも含む)
新たな経済予測を発表する」
Q.昨年秋ごろから金融市場が緩み、1月には株式相場が上昇した。こうした状況は金融引き締めを難しくし、一段の利上げの必要に迫られるか。
1)「我々の金融政策の狙いは短期的な金融引き締めではなく、
長期的な視野で持続的に金融市場を引き締めることだ。
現時点では十分な引き締め水準になっているとはいえないと
判断し、利上げを継続すると表明した」
インフレの予想、今後も難しい
Q.労働市場は堅調に推移しており、個人消費も伸びている。現在のインフレ率から目標の2%に到達するのは難しいとみるか。
1)「わからない。我々は21年末にはモノのインフレ率
が低下すると想定していたが、実際は22年を通しても
下がることはなかった。今後も予測することは難しいだろう。
今はまだインフレ鈍化の初期段階にすぎず、経済全体に波及
していくには時間がかかると見ている。急速な鈍化は見られ
ないだろう。その場合、23年中に利下げや政策緩和をする
見込みは薄い」
新型コロナ、米経済のリスクではなくなった
Q.声明では公衆衛生に関する言及がなかった。もう新型コロナを米経済のリスクとして捉えていないということか。
1)「存在は認知しているが、もはや経済においてリスクになるような要因ではないだろう」
債務上限問題、「議会が解決すべき仕事」
Q.米国の債務上限問題について。もし財務省の資金繰り策が尽きる「Xデー」を過ぎたら、国債の償還に関して財務省がFRBに指示することを何でもするのか。
1)「進むべき道は1つしかない。米国政府がすべての債務を
払うことができるよう、議会が債務上限を引き上げることだ。
その道から外れることは非常にリスクが大きい。そしてFRBが
経済を守れると思うべきではない。議会が解決すべき事柄で、
債務上限を引き上げるのは議会の仕事だ。我々はこの議論に
参加していない」