【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は16日、銀行によるFRBからの借り入れ額が15日時点で1528億ドル(約20兆円)に急増したと発表した。リーマン危機時を抜いて過去最高を記録した。相次ぐ米銀の破綻で金融市場は動揺しており、資金繰りを「最後の貸し手」である中央銀行に頼っている。
FRBは金融機関が資金繰りに行き詰まることを避けるための安全弁として、民間銀行向けに貸し出しを実施している。8日時点で45億ドル強だったこの融資額は1週間で33倍に急増した。10日以降に米銀シリコンバレーバンク(SVB)などが相次ぎ破綻し、市場で資金のやり取りが細っているためだ。
この貸し出しは金融危機時などに急増する。これまでの最高はリーマン危機後の08年10月末の1107億ドル。金融機関はかつては経営不安の噂が流れるのを警戒して、FRBからの借り入れを敬遠する傾向にあった。
FRBがSVBの破綻を受けて新たに設けた「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」と呼ばれる緊急融資枠も15日時点で119億ドルの利用があった。SVBとシグネチャー・バンクを管理するために米連邦預金保険公社(FDIC)が作った「ブリッジバンク」向け融資も増え、FRBが「その他の信用拡張」と分類する融資額は1428億ドルだった。