【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は26日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決定した。2022年3月のゼロ金利解除以降、引き上げ幅は計5.25%で政策金利は22年ぶりの水準になった。利上げは最終段階にさしかかっている。
政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は5.25〜5.50%。リーマン危機前のピークを抜き、ドットコムバブル崩壊前だった2001年3月以来の高さになった。
今回の利上げは市場で確実視されていた。関心は利上げがこれで終わるのか、あと1回があるのかどうかに絞られている。
同時に公表した声明文は追加の金融引き締めについて、これまでの累積した利上げ効果や影響が経済に広がるまでの時間差を考慮するという前回会合までの表現を踏襲した。そのうえで「追加の情報や、それが金融政策に与える示唆について検証を続ける」とした。
6月の前回会合は政策金利をいったん据え置いたうえで、2回の追加利上げを示唆する経済見通しを公表した。一方、金利先物市場は7月26日午前の時点で6割が今回会合で打ち止めになると見通しており、両者の見解には溝がある。
同日記者会見したパウエル議長は今後の利上げ方針について「入ってくるデータに応じて会合ごとに決定を下す」と従来通りの姿勢を強調した。
インフレ率は鈍化傾向が続いている。FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は5月に前年同月比で3.8%上昇した。40年半ぶりの水準だった22年6月の7.0%からみれば半分ほどの伸び率だ。
パウエル氏も会見でFRBのスタッフが前回会合まで続けてきた23年後半からの景気後退の予想を撤回したと明らかにし、経済の軟着陸(ソフトランディング)に自信を示した。
26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は13営業日連続で上昇し、1987年1月以来36年半ぶりの連騰記録となった。FRBは同日に政策金利を22年ぶりの高さに引き上げたが、パウエル議長は追加利上げは今後のデータ次第との姿勢を示した。市場では今回の会合でFRBが利上げを打ち止めにするとの見方がなお優勢だ。
ただパウエル氏は「インフレ率を2%に戻すには、まだ長い道のりがある」とも指摘した。物価指標が何度も予想を上回ってきた経緯に触れ、楽観論をけん制した。高インフレが低所得層に打撃を与えると指摘し、物価抑制をやり遂げる覚悟を示した。
8月はFOMCが開かれないため、次回会合は9月19〜20日と先になる。それまでに物価や雇用の経済指標が十分に落ち着けば、結果的に今回会合が最後の利上げになる可能性もあるが、その見極めにはまだ時間がかかりそうだ。