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米政府閉鎖回避、格下げへの懸念和らぐ 米金利高一服も

日経新聞より引用

【ニューヨーク=斉藤雄太】米議会が政府機関の閉鎖を土壇場で回避し、週明けの金融市場では米国債格下げへの懸念がひとまず後退するとみられる。日米の株式市場では買い戻しが先行するとの観測が強い。米財政懸念や原油高などを背景にした米長期金利の急ピッチな上昇(債券価格の下落)が一服するかが金融市場安定の焦点になる。

今回の米議会の合意は45日間の予算執行を認める内容にすぎず、財政運営をめぐる政治的な対立が根本的に解消されたわけではない。市場が安定を取り戻すかは不透明だ。ただ、ひとまずリスク回避姿勢は和らぐとの見方が多い。

週末も売買できる「差金決済取引(CFD)」では、つなぎ予算案可決を受け、米ダウ工業株30種平均を対象とした相場が9月29日の指数終値より200ドルほど上げた。

週明けの東京市場でも不安が和らぎそうだ。日経平均株価は9月後半に計1700円近く下げていた。みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジストは「閉鎖回避で米金利が落ち着く可能性があり、調整が続いてきた株にはひとまずプラスに働くだろう」と話す。

米長期金利の指標になる10年物国債利回りは9月下旬に4.6%台半ばと2007年10月以来の高水準を付けた。9月末も4.58%程度で高止まりし、9月の月間上昇幅はおよそ0.5%と1年ぶりの大きさになった。

9月後半は政府閉鎖への警戒感が長期金利の上昇を招いた。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは政府閉鎖が実現すれば米国のガバナンス(統治)の弱さを浮き彫りにし、米国債の信用力に悪影響を及ぼしうるとしていた。

政府閉鎖が回避されたことで、財政の混乱を警戒した米国債売りはいったん収まる可能性がある。もっとも、米国ではインフレ圧力の根強さと、自動車大手のストライキや学生ローンの返済再開といった景気への逆風が併存し、米金利の行方には不透明感が強い。

外国為替市場ではドル高の持続性が焦点。先週には対ドルの円相場が1ドル=149円70銭台と150円に接近する場面があった。米金利の上昇がとまればドル高圧力が緩和する可能性がある。

ただ、低金利の円を借りて高金利通貨を買う「円キャリー取引」などドル買いの需要は強く、「円相場は今週1ドル=150円台まで下落する可能性があり、政府・日銀の円買いの為替介入のラインを探るような相場展開になるとみている」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との声もある。

先週は日本の2023年度の上半期末にあたり、日本企業が国内に資金を戻す動き発生しやすい時期にあたる。それにもかかわらず円安・ドル高が進んでおり、ドル高圧力の強さを意識する市場関係者が多い。

(ニューヨーク=斉藤雄太、篠崎健太、佐藤俊簡)

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