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米銀破綻1週間、動揺続く市場 米2年金利35年ぶり下げ幅

日経新聞より引用

米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻から1週間が過ぎ、金融市場の動揺が続いている。米債券市場では金融政策の先行きを反映しやすい2年債の利回りが急低下し、週間の下げ幅はおよそ35年ぶりの大きさとなった。金(ゴールド)などの安全資産に資金が流入し、金融株や原油先物が大きく下げた。投資家が景気後退などに備える動きが出始めた。

金融情報会社リフィニティブによると、米2年債利回りは3.8%台半ばで17日の取引を終えた。週間では0.74%程度下がり(価格は上昇)、利回りの低下幅は1987年10月の世界同時株安「ブラックマンデー」以来の大きさとなった。

市場ではSVB破綻の一因に米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げを指摘する声がある。金融システムや景気への配慮からFRBが年央にも利下げに転じるとの見方が広がり、2年債利回りが急低下した。

SVB破綻発の金融不安は欧州にも波及した。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安が取り沙汰され、17日時点の世界の金融株の時価総額は10日時点に比べ7138億ドル(94兆円、4%)減少した。米地銀株の指数は15%低下した。

投資家は金融不安の高まりを受け、安全資産に資金を移している。金の国際価格は6%上昇し11カ月ぶりの高値を付けた。節目の1トロイオンス2000ドルに迫る。金融システムが相対的に安定しているとの見方から、日本円も買われ、1ドル=131円台をつけた。

世界最大の運用会社、米ブラックロックは「金融危機が避けられたとしても、景気後退は避けられない」との見解を明らかにした。こうした懸念は商品相場などに色濃く表れている。

原油の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は期近の4月物が13%下落した。一時、1バレル65ドル台と2021年12月以来の安値を付けた。景気動向に敏感な銅の価格も3%下落した。

景気後退時に買われやすい米10年債の利回りも0.3%ほど下がり、昨年11月以来の低下幅となった。野村証券の小清水直和氏は「銀行の経営体力がなくなると、資金を貸し出す際の基準が厳しくなり景気には大きな下押し圧力になる」とみる。

足元の金融市場の動揺は、FRBなどの急速な利上げのきしみが表れたものとみられている。「利上げを続けなくてもインフレが収まる可能性が出てきた」(みずほ証券の上家秀裕氏)という声が聞かれるほど、米国を中心とする世界経済の先行きには不透明感が増してきている。

(佐藤俊簡、川路洋助、今堀祥和)

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