本欄では、今年2月10日付で「S&P、日本国債格付けに言及」と題して、日銀利上げが日本国債格付けに影響を及ぼす可能性を論じた。
さらに、注目すべきは、格付け大手フィッチ・レーティングスの格付け部門のディレクターが、米ブルームバーグ通信とのインタビューで、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)に伴う日銀の大規模な国債買い入れは、日本国債の格付けを下支えする「重要な役割を果たしている」と語っていたことだ。
これは2022年11月28日付の報道で、日銀の次期総裁は「債務の持続可能性における金融政策の重要性を十分承知しているだろう」として、政府が任命することからも「次期総裁が考えを急に変えることがあればかなり驚きだ」とも述べている。この記事の見出しは「日銀の国債買い入れは格付けの支え、次期総裁も承知のはず」となっている。
そもそも黒田日銀の、長期国債の大量購入なかりせば、長期金利上昇による利払い負担の増大が、日本国債の格下げを誘発していた可能性がある。そして今、植田日銀がYCCでの国債購入を減らせば、フィッチが日本国債格下げに動く可能性を上記発言は示唆しているのだ。
日銀も、政策修正の真っただ中で、まさか米国債の格下げが勃発するとは、想定していなかったであろう。対して、国際通貨投機筋は、日銀の足元を見て、円売りの仕掛けを一段と強める可能性がある。