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FOMC議事要旨、利下げまで「長く」 一部は利上げ言及

日経新聞より引用

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急がない姿勢を強めている。22日に公表した前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、参加者がより時間をかけて金融引き締めに取り組む姿勢が強調された。

「総需要の伸びがここ数四半期の力強いペースから弱まる必要がある」。4月30日〜5月1日の会合では数人からこんな発言が出た。米経済をけん引する個人消費は1〜3月期も高い伸びを示した。時間をかけてこの減速を確認する必要があるという指摘だ。

この会合は1〜3月の物価指標が予想を上回る強さとなり、インフレ抑制への自信が揺らぐなかで開かれた。会合後の15日に公表された4月の消費者物価上昇率は3カ月ぶりに鈍化してインフレ再加速の懸念までは薄れたが、議事要旨はFRB高官の警戒心を改めて強調する内容だった。

「様々な参加者」の発言として明記されたのが、金融引き締めが不十分なら追加利上げも辞さないという意向だ。実際には追加利上げを想定する市場関係者はほぼいないが、あらゆる選択肢を排除しない姿勢をあえて示した。パウエル議長は会合後の記者会見で「利上げの可能性は高くない」と話していた。

米経済と物価の先行きを巡り、FRB高官らの見方には濃淡がある。会合では「(物価抑制には)以前考えられていたよりも長く時間がかかる可能性が高い」という点で一致した。ただ、複数の参加者が企業の値上げが難しくなっていると指摘したのに対し、別の参加者からは異論が出た。高成長を支える生産性の伸びが持続するかどうかも意見が分かれた。

多くの参加者は、低中所得層の家計が圧迫されつつあるとみている。その兆候として消費者が商品購入時に後払いや分割払いを選択できる「BNPL(バイナウ・ペイレイター)」の増加やカードローンの延滞率の上昇があげられた。

先行きは不透明で、参加者は今後の政策を「データ次第で判断する」という姿勢を確認し合った。金融市場の反応は限定的だった。

次回のFOMCは6月11〜12日で、市場は3カ月ごとに公表されるFOMC参加者の経済見通しに注目する。3月時点では参加者予想の中央値が年内3回の利下げだった。

クリーブランド連銀のメスター総裁は5月20日の講演で自身の利下げ予想を従来の3回から減らしたと明らかにし、慎重な姿勢を示した。一方、ウォラー理事は21日の講演で「物価目標への前進が再開された」と述べ、良好なデータが数カ月続けば利下げを支持する考えを示唆した。

金利先物市場は22日午後の時点で利下げの開始時期について2割弱が次々回の7月会合、4割程度がその次の9月会合と予想している。年内の利下げ回数は1〜2回という見方が大勢だ。市場は年初は年6回程度の利下げを想定していたが、FOMC高官らの見方に合わせるように慎重姿勢を強めてきた。

FRBは利下げが遅れて経済が冷え込みすぎるリスクと、早すぎる利下げでインフレが収まらなくなるリスクを両にらみにしながら、慎重に検討を続けることになる。

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