投資情報ななめ読み

米、利上げ効果道半ば 景気・労働市場なお強く

FRB議長、引き締め継続強調

日経新聞より引用

【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=斉藤雄太】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日、インフレ抑制へ金融引き締めを続ける考えを強調した。足元の景気や労働市場は強く、利上げ効果が経済全体に浸透するまでなお時間がかかるとみているためだ。高金利環境の長期化で家計や企業には痛みも出始めており、米景気には腰折れリスクもある。

25日の経済シンポジウム、ジャクソンホール会議でパウエル氏は「インフレの鈍化傾向は歓迎すべきだが、まだ高すぎる」と指摘し、「適切ならさらに利上げする用意がある」と述べた。

パウエル氏は「インフレが(2%の)目標に向かって持続的に減速していると確信できるまで引き締め的な政策を維持する」とも強調した。7月の記者会見では来年に利下げに転じるシナリオにも言及していたが、この日は触れなかった。

背景にはインフレ再燃への警戒がある。パウエル氏は2%目標達成のため「潜在成長率を下回る成長と労働市場の軟化が必要だ」と訴えた。昨春以降の急速利上げで政策金利は5.25~5.5%と22年ぶりの高水準に達したにもかかわらず、景気も労働市場も想定外の強さをみせていることへの驚きと焦りがにじむ。

4~6月期の米実質成長率は2.4%と米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見込む潜在成長率(1.8%)を上回る。7月分の小売売上高や鉱工業生産などの統計も予想比で上振れが目立つ。アトランタ連銀が米国内総生産(GDP)を予測する「GDPナウ」で7~9月期の成長率見通しは6%近くに達する。

労働市場でも就業者数の伸びや求人数は減速傾向にあるものの、なお高水準を維持する。7月の失業率は3.5%と利上げを始めた2022年3月(3.6%)よりも低い。労働需給の逼迫に伴う6%近い賃金の伸びが消費活動を支えている。

パウエル氏が引き締め継続姿勢を強調したのは、利上げの効き目が物価指数を構成する品目によって大きく異なるためだ。例えば中古車の価格はサプライチェーン(供給網)の正常化や自動車ローン金利の大幅な上昇による需要減も相まって価格が下がっている。

住宅市場でも住宅ローン金利の急上昇で買い手の需要が細り、中古物件の販売は低迷が続く。ただし新たに高金利のローンを組むのを嫌って家を手放さない人も多く供給減が住宅価格を下支えしている。家賃などの住居費は減速ペースが鈍い。

ヘルスケアや運輸、宿泊などのサービス価格も動きは鈍い。パウエル氏は、こうした産業に対する需要はモノや住宅に比べて金利感応度が低いうえ、労働集約的なため人手不足や賃金上昇の影響を受けやすいと説明した。「長期的には金融引き締めが需給バランス全体を正し、サービス分野のインフレ圧力も緩和する」(同氏)として、粘り強く引き締めを続ける必要があると主張する。

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