1)30日の外国為替市場で円相場が一時急伸した。
2)令和国民会議(令和臨調)が公表した政府・日銀の共同声明に関する
提言を受け、
日銀が大規模な金融緩和の修正に動くとの思惑が再び強まったため。
3)民間の有識者で構成される令和臨調に過敏に反応した。
4)銀の副総裁候補と噂されるメンバーが代表的な立場で提言に
加わっていたことも一因。
一時1ドル=129円台前半に上昇
1)1円あまり円高・ドル安が進んだ。
2)和臨調で提言された「国債市場の正常化といった文言に反応した。
3)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を含む日銀の
政策修正への思惑が高まった」
国内銀行の為替担当者)ことが円買い・ドル売りにつながった。
4)令和臨調は経済界や労働界、学識者の100人ほどが集まり政策課題を
提言する民間の団体で2022年6月に発足。
5)1990年代に衆院の中選挙区制の変革を求め、現行の小選挙区比例代表
並立制の導入につながる提言をしてきた「民間政治臨調」などの流れをくむ。
6)昨年の発足大会には岸田文雄首相も出席した。
7)財政健全化の旗は掲げ続けなければならない」などと説いていた。
8)令和臨調が30日公表した提言では、
・「異次元緩和」の象徴となった2%の物価安定目標を長期的な目標に据えることなどを提案。
・日銀の金融政策について「より柔軟にただしていかないといけない」と指摘。
・そのうえで「市場は死んでいる」と強い言葉で国債市場の機能不全にも言及した。
岸田首相の「聞く力」は
1)政府・日銀の共同声明では、2%の物価目標に関し「できるだけ早期に実現する
ことを目指す」と記している。
2)みずほ証券の小林俊介氏は、2%を長期的に実現する目標とすることで
「日銀の政策に柔軟性を持たせることができる」とみる。
3)そのうえで「この提言が日銀の金融政策への異議に対し、
どれだけ受け入れられるかを測る観測気球の役割となる」と話す。
3)令和臨調の提言には近く明らかになる日銀の正副総裁人事の思惑も絡む。
4)記者会見には平野氏とともに共同座長を務めた日本総合研究
所理事長の翁百合氏が登場した。
5)氏は初の女性副総裁として名前が挙げられる候補だ。
6)大和証券の末広徹氏は「翁氏の意思が提言に反映されていると意識され、
外為市場で円高に振れる要因となった可能性がある」と話す。
7)日銀の黒田東彦総裁の任期満了まで3カ月を切り、
政府は2月にも後任人事案を国会に提出する見込み。
8)市場では「日銀の人事を巡る思惑は依然としてくすぶっている」
(別の国内銀行の為替担当者)。
9)正副総裁の人事案によっては市場が一気に日銀による大規模緩和の
「出口」を織り込む可能性も高い。
10)「聞く力」をウリにする岸田首相が令和臨調の提言を受け入れる
候補を推せば、外為市場では急速に円高・ドル安が進むことになりそうだ。