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株、レンジ脱せない日本 揺らぐ「円安で利益拡大」の構図

日経新聞より引用

 16日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前引けは前日比221円(0.81%)高の2万7723円だった。前日の米株高と外国為替市場での円安・ドル高を背景に幅広い銘柄が買われたが、2万7500円を中心としたレンジ相場の域はまだ出ていない。国内の企業業績や景気の先行き懸念が上値を抑えているなか、ここにきて円安効果が必ずしも利益拡大につながっていない構図も浮かび上がっている。

 前日で主要企業の決算発表はほぼ一巡した。今回の決算は、欧米景気の先行き不透明感などを背景に業績予想を下方修正する企業も目立つなど、強弱が入り交じる結果だった。主力企業も決して想定以上とは言えない内容で、株式相場全体の押し上げ効果も限られている。

 午前の東証プライムの売買代金は1兆3358億円と最近では薄商いで、市場では「静かになった」(国内証券のトレーダー)との声が聞かれる。午前は米株高や円安を受けた海外勢の先物買いが日経平均を押し上げた面も大きいとみられ、指数寄与度の高いファーストリテイリングの上昇が目立った。

 日経平均の昨年末からの上昇率は6%と、ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数(15%)に比べると出遅れが鮮明だ。その背景として、業績面から見た日本株の魅力が低下しているとの指摘が増えている。東証プライムの予想PER(株価収益率)は前日時点で14倍台と13倍台だった2月初めから水準を切り上げている。この間の日経平均や東証株価指数(TOPIX)はおおむね横ばい圏なので、1株利益(EPS)の低下が影響していると分析できるだろう。

 昨年は外国為替市場で1ドル=151円台まで円安・ドル高が進み、主力の輸出企業の収益を押し上げる効果は確かにあった。ただ、EPSが大きく伸びたのは円安が進み始めた昨年の春ごろだけで、その後は伸びていない。海外景気の減速も重荷だが、資源高に円安も加わってのコスト増が利益を圧迫している構図がうかがえる。象徴的なのがトヨタ自動車で、今期の営業利益は円安にかかわらず減少を見込み、株価もきょうは上昇しているものの足元は1900円近辺での低迷が続く。

 食品関連を中心に値上げラッシュの勢いは収まりそうにない。インバウンド(訪日客)需要の回復という点では円安のプラス効果もあるが、国内の個人消費の低迷は深刻な問題だ。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「外部環境の不透明感は強く、日本株の上値の重い展開が続く」との見方を示す。円安でも企業業績や個人消費が上向かない以上、日本株がレンジを大きく上抜ける手掛かりは乏しいと言えそうだ。

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