経済用語 投資情報ななめ読み

先物取引の仕組み

価格を約束、多額の売買も

日経新聞より引用

マーケット関連のニュースではしばしば「先物」という言葉が出てきます。先物取引は経済活動を円滑にする役割がある一方、個人投資家にとっては高いリスクがある取引ともいえます。どのような仕組みなのでしょう。

Q 先物取引とはどんな取引ですか。

A 将来の売買について、あらかじめ約束をする取引です。約束をする時点で取引の時期や価格や数量を決めておき、約束の日に売り手は対象の商品を渡し、買い手はお金を払うのが基本です。

Q なぜそのような取引をするのですか。

A 商品の価格変動による影響を避けるためです。例えば食堂を経営していたら、営業をするために一定量のお米が必要です。必要なときにその都度お米を買っていると、価格が急上昇したときに仕入れの費用もかさみます。極端な場合は十分な量を確保できないといった事態もあり得ます。将来の取引量や価格が決まっていれば経営の安定につながります。

Q 具体的にはどのような約束をするのですか。

A 例えば定期的に一定量の金(ゴールド)を必要とする人(買い手)がいたとしましょう。必要とする量の価格は現在100万円です。しかし現在はお金が足りず、保管する場所もありません。そこで1年後に金を100万円で売ってくれる人を見つけて取引の契約をします。1年後はその時の市場価格に関係なく100万円で取引をします。

Q 1年後の価格が80万円だったら損になるのでは。

A そうともいえます。一方で、120万円に上がったら20万円安く買えることになります。相場次第で実質的な損益が発生するのは売り手も同じです。多くの商品は価格が変動します。先物の価格が「許容範囲」なら将来の大きな損を避けられたので、結果に関係なく双方にメリットがあったともいえます。

Q どのような商品が取引されているのですか。

A ニュースでよく取り上げられるのが金や原油です。貴金属では白金(プラチナ)や銀など、農産物では大豆やトウモロコシなどが目立ちます。農作物や貴金属などの取引を商品先物と呼びます。先物取引には金融先物と呼ばれるものもあります。日経平均株価や国債などが取引の対象です。

Q 仕組みを教えてください。

A 実在するモノの価格ではなく、相場の水準などを取引します。例えば日経平均先物は将来の日経平均株価を予想する取引です。株価が上昇すると予想した投資家は、先物の買い注文を入れます。価格が3万円の時に買い注文を入れ、3万1000円に上昇した時に売れば、差額が利益になるといった仕組みです。下げると予想した時には売り注文を出すことも可能です。

Q どのように使うのですか。

A トヨタ自動車やソニーグループなど様々な株式を保有する人がいたとしましょう。相場の不透明感が強く、急落が心配なときには日経平均先物の売り注文を出します。もし株価が大きく下落すると保有株の含み損を抱えますが、先物取引では利益が出ます。この方法なら保有株を売ることなく、損失を実質的にカバーできます。

Q 先物取引はリスクが高いと聞きます。

A 先物取引はあらかじめ担保となる証拠金を差し入れ、それを大きく上回る金額の取引が可能です。日経平均先物(日経225先物)は価格の1000倍が取引単位で、価格が10円動くと損益が1単位あたり1万円発生する計算です。資金効率が良く、小さな値動きでも利益を出しやすいため「投機目的で参加する投資家も少なくない」(松井証券の窪田朋一郎氏)。一方で相場が大きく動くと短期間に大きな損失を出す可能性があります。初心者には難易度が高い取引といえるでしょう。

(岸田幸子)

短期トレード向きの「DMM FX」

-経済用語, 投資情報ななめ読み