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経済変容どう見極め 24日からジャクソンホール会議

日経新聞より引用

主要中央銀行の首脳や経済学者による経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が24〜26日に開かれる。新型コロナウイルス禍からの経済回復は歴史的な高インフレを招いた。焦点は「その後」の経済だ。低インフレと低成長、低金利というコロナ前の世界が再び訪れるのかが一つの論点となりそうだ。

3年ぶりの対面開催となった2022年8月は米国の高インフレがピークを迎えたなかで開催された。当時の議題は「経済と政策に対する制約の再評価」。サプライチェーン(供給網)の混乱など現在進行形で起きている課題に焦点があてられた。

今年のテーマは「グローバル経済の構造転換」。より中長期的な目線で、インフレや労働市場の今後について議論が交わされると予想されている。テレワークの普及による働き方の変化から、人口動態、米中を中心としたグローバル経済の分断リスクまで論点は幅広く想定される。

注目は25日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による講演だ。

22年はインフレ抑制を「やり遂げる」と明確な決意を示し、金利の上昇と株価の急落を招いた。20年の会議では、慢性的な低インフレへの処方箋として2%を超える物価上昇を一時的に容認する新たな指針を発表した。世界から注目される会議だけに、議長のメッセージはたびたび市場を揺らした。

今回、市場の関心はFRBが利上げをこのまま終結するか、9月にもう一度利上げをするかに集まっている。だが、パウエル氏は記者会見などで今後の政策について経済データ次第だと繰り返し主張してきた。具体的な言及はしないとの見方がある。

目先の金融政策については利下げへの転換時期について一段と慎重な見方を示す可能性がある。米経済は個人消費を中心に多くのエコノミストの想定を上回る強さを維持し、FRBの事務方も年後半からの景気後退予測を7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で撤回した。早期の利下げで景気を支える必要性は薄らいでいる。

中長期的な構造変化についての言及でも、実際に政策金利を動かす当局者たちの発言は市場に影響を及ぼしかねない。

たとえば米国の政策金利は中長期的にどのあたりに落ち着くのかという議論だ。FOMC参加者の見方はこれまで2〜3%で一致していたが、直近では異論が目立つ。参加者には3.5〜3.75%で安定するという意見もある。

景気や物価を熱しも冷ましもしない「自然利子率」がコロナ禍での財政拡張によって引き上げられているという指摘があり、ニューヨーク連銀などが反対の論陣を張る。長期にわたる金利水準についての首脳らの見方は、10年債など償還までの期間が長い金融商品の利回りに影響する可能性がある。

ジャクソンホール会議の対面開催は2年連続となる。米西部ワイオミング州のロッキー山脈を望む山荘での会議は、落ち着いた雰囲気の中で中銀の首脳らが直接やり取りする貴重な機会だ。

中銀関係者の間で特に注目されているのは、4月就任後、初参加となる日銀の植田和男総裁だろう。国際会議デビューとなった6月の「欧州中央銀行(ECB)フォーラム」では流ちょうな英語で冗談を交えたやり取りを披露し、会場を沸かせた。

米国の利上げが終盤を迎えるなか、金融政策の枠組み修正に動き始めた日銀への関心は高い。親密な距離でパウエル氏らと交流するなかで何を発信するのか。静かな山荘での一挙手一投足に注目が集まる。

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