【ワシントン=高見浩輔、ニューヨーク=竹内弘文】米連邦準備理事会(FRB)は21日、7月30~31日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。何人かの参加者が「この会合での利下げを支持することもあり得た」と述べていたことが判明した。
大多数の参加者は「もしデータが予想通りであれば、次回の会合で政策を緩和するのが適切だろう」と述べた。次回の9月会合での利下げ開始を強く示唆する内容となった。
7月会合では政策金利を据え置いた。会合後に記者会見したパウエル議長は「9月の利下げ開始もありうる」と明言した。議事要旨では、その認識がFOMC内で広く支持されていたことが明らかになった。
パウエル氏は会見で「労働市場がこれ以上冷え込むことは望んでいない」と話した。実際には会合後の8月2日に公表された7月の雇用統計で、失業率が想定外に上昇した。米景気の失速懸念が急速に高まり、一時は世界で株価が急落した。
会合前に公表された6月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比上昇率が2.5%まで鈍化した。ほぼすべての参加者は、最近のディスインフレをもたらした要因が、今後数カ月もインフレに下押し圧力をかけ続ける可能性が高いとの見方を示した。
議事要旨の公表を受け、21日のニューヨーク市場で円相場は一時1ドル=144円台半ばまで円高・ドル安が進んだ。144円台を付けるのは2週間ぶり。ドルは対ユーロでも一時1ユーロ=1.117ドル近辺まで下落し、2023年7月以来、約1年1カ月ぶりのドル安・ユーロ高水準を付けた。
英キャピタル・エコノミクスのスティーブン・ブラウン副チーフ北米エコノミストは「9月利下げを裏付ける議事要旨」だったと分析する。