4~6月金利収入減 貸倒損失6割増
【ニューヨーク=斉藤雄太】米銀大手の稼ぐ力に陰りが出ている。JPモルガン・チェースなど大手3社が12日発表した2024年4~6月期決算は、合計の純金利収入が2四半期連続で減った。貸倒損失は1年前から6割増えた。これまで貸出業務は好調だったが、高金利の長期化とともに利ざやの縮小や景気減速による不良債権の増加といった負の影響が広がり始めている。
12日に決算発表した米銀大手の純利益はJPモルガンが前年同期比25%増の181億ドル(約2.8兆円)と最高益を記録し、シティグループは10%増の32億ドルだった。ウェルズ・ファーゴは49億ドルと1%の減益だった。
JPモルガンとシティは投資銀行業務の手数料収入が回復したほか、クレジットカード大手ビザの株式交換という特殊要因も利益を押し上げた。
同日の米株式市場で3社の株価はそろって下落した。ウェルズは前日比6%安と下げがきつい。24年の純金利収入が前年比8~9%減と、保守的な見通しを示したことが投資家の失望を招いた。
銀行本業の稼ぐ力を表す純金利収入に頭打ち感が出ているのはJPモルガンとシティも同じだ。3社合計の純金利収入は481億ドルと前年同期比で1%減った。より足元のトレンドを示す前四半期比では2四半期連続のマイナスになった。
米連邦準備理事会(FRB)が利上げを始めた22年春以降は、貸出金利の伸びに応じて純金利収入も急拡大してきた。だがFRBは23年7月の利上げを最後に政策金利を1年間据え置いている。
貸出金利は上げにくくなる一方、預金金利は高利回り商品への流出を防ぐために引き上げ圧力がかかる。この結果、利ざやは縮小傾向にある。JPモルガンの利ざやは23年10~12月期の2.81%をピークに縮小に転じ、24年4~6月期は2.62%になった。
長引く高金利で消費者や企業の返済余力が低下し、不良債権処理費用が増えていることも米銀業績の重荷だ。24年4~6月期は3社合計で57億ドルの貸倒損失を計上した。1年前より6割多い。