投資情報ななめ読み

米消費、力強さ欠く 6月小売売上高、0.2%増どまり

【ニューヨーク=朝田賢治】米商務省が18日発表した6月の小売売上高(速報値、季節調整済み)は、前月比0.2%増の6894億9900万ドル(約95兆円)だった。3カ月連続で増加した。ただ市場予想(0.5%増)は下回り、力強さを欠いた。インフレ率は低下傾向にあるが、家計の負担感は根強く米消費の先行きはなお不透明だ。

金額の大きいガソリンスタンドは1.4%減った。自動車・同部品は0.3%増だった。自動車・同部品を除いた売上高は0.2%増えた。

業態別の内訳では、このところ低調に推移していた雑貨(2.0%増)、家具(1.4%増)、家電(1.1%増)、衣料品(0.6%増)などが増加した。インターネット通販など無店舗小売りも1.9%増えた。

6月は消費者物価指数の前年比の上昇率が3%まで低下し、平均賃金の伸びがインフレ率を上回った。これまで低迷していた裁量消費財の販売がやや戻り始めた可能性がある。

一方で、日常的な消費財は伸び悩んだ。食品は0.7%減、ヘルスケアは0.1%減だったほか、総合小売りが0.1%減、ホームセンターが1.2%減だった。新型コロナウイルスの収束で比較的好調だった外食は0.1%増にとどまり、3カ月ぶりの低い伸び率となった。まだら模様の消費傾向が続いている。

全体の小売売上高は前年同月に比べ1.5%増だった。インフレの影響を除いた実質的な売上高は前年比で縮小していることになる。

米バンク・オブ・アメリカがクレジットカードとデビットカードの利用データから算出する6月の消費額は、前年同月比で0.2%減った。4月以降、3カ月連続でマイナスが続いている。

同社の分析では持ち家に住む人のカード支出はわずかに前年比で増加しているが、賃貸住宅居住者は減少が続いている。住宅賃料のインフレ率は一般の消費財を上回っており、資産の少ない人ほど可処分所得の減少により家計の負担感が強まっている。

今秋には学生ローンの支払い猶予措置が打ち切られ、2000万人以上が返済の再開を余儀なくされる。負担は1人あたり300ドル超増える計算で、消費に与える影響は避けられない。

商務省が同日発表した5月分の確報値は0.5%増だった。速報値の0.3%増から上方修正した。前年同月比は2.0%増だった。

短期トレード向きの「DMM FX」

-投資情報ななめ読み