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米就業者2月15.1万人増 失業率は4.1%にやや上昇

日経新聞より引用

【ニューヨーク=高見浩輔】米労働省が7日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から15万1000人増えた。予想は16万〜17万人だった。失業率は予想に反してやや上昇した。米経済の減速懸念は強まっているが、雇用情勢が崩れる状況にはなっていない。

2024年12月の伸びは30万7000人から32万3000人に、25年1月は14万3000人から12万5000人にそれぞれ修正された。直近3カ月の平均は約20万人で、新型コロナウイルス禍前の15〜19年平均の19万人を上回った。

失業率は4.1%だった。1月から横ばいの4.0%と予想されていた。やや上昇したものの24年前半に強まった上昇傾向は一服しており、歴史的にみると低水準にある。

平均時給は前月比で予想通り0.3%上昇した。前年同月比では4.0%の上昇で予想をやや下回った。

関税の引き上げといったトランプ米政権の政策を背景に、景況感には陰りが出ている。だが、雇用や所得の環境が堅調なら、米経済の中核をなす個人消費が下支えされる公算は大きくなる。

米政権が打ち出した政策のうち、雇用情勢に直結するのは連邦政府職員の削減と不法移民の管理強化だ。

トランプ米大統領は就任直後に政府職員の採用を凍結した。早期退職を募集したほか、2月11日にも大幅削減を目指す新たな大統領令に署名した。リストラは起業家のイーロン・マスク氏率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する。

米調査会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、官民の人員削減計画は1月の約5万人から2月は約17万人に急増し、4年7カ月ぶりの高水準になった。

この調査はあくまで政府や企業の公表ベースで、実際に職を失う人がどれほど増えるかは見通せない。2月は連邦職員が1万人程度減った。おおむね市場予想通りだった。新規採用を凍結した影響とみられる。

離職を予定していた人が前倒しで辞めている可能性もあるほか、高度人材は転職の受け皿が大きい。米コンファレンス・ボードは2月のリポートで「高度な教育を受けたホワイトカラーの流出としては第2次世界大戦後で最大規模」と指摘した。民間の人事担当者は採用をためらうべきではないと呼びかけた。

22〜23年に起きた移民の急増は、企業の求人増で深刻化した米国の人手不足を和らげた。強制送還を含めた政権による移民の制限は職探しをする人の増加を抑えるため、就業者数のペースが鈍っても失業率は上昇しにくくなる。

米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は6日のイベントで、このような移民と雇用増のバランスがコロナ禍前の水準まで戻ったとの認識を示した。

失業率の上昇懸念が小さくなれば、FRBの利下げ圧力は弱まる。さらに関税の引き上げは物価の上昇圧力となり、利下げをちゅうちょさせる要因になる。

FRBの高官らは物価と雇用の動向について、時間をかけて判断する姿勢を強めている。ウォラー氏は3月18〜19日に予定される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げに関して「ないと思う」と否定した。

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