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日銀総裁、追加修正「物価目標実現見通せれば」 会見要旨

日経新聞より引用

日銀の植田和男総裁は22日開いた金融政策決定会合後に記者会見した。会見の要旨は以下の通り。

 決定内容について。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)のもとでの金融市場調節方針とその運用、資産買い入れ方針について、いずれも現状維持を全員一致で決めた。内外経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高いなか、粘り強く金融緩和を継続することで、賃金上昇を伴う形で2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを目指す。

 経済・物価情勢の見方は。

 生鮮食品除く消費者物価(コアCPI)の前年比は、輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響から足元は3%程度となっている。先行きはプラス幅を縮小したあと中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率が高まっていき、再びプラス幅をゆるやかに拡大していくとみている。

 読売新聞のインタビューでマイナス金利に関連して「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と述べたと報じられた。市場の受け止めは意図通りか。

 インタビューでは、現状は物価目標の実現が見通せる状況には至っておらず、粘り強く金融緩和を継続する必要があると申し上げた。その上で先行き実現が見通せる状況に至れば政策の修正を当然検討することになるが、現時点では経済・物価を巡る不確実性は極めて高く、政策修正の時期や具体的な対応について到底決め打ちできないと指摘した。毎回の決定会合で新しいデータや情報を丁寧に分析して決めていくもの。政策運営の基本的考え方に変化はない。

 マイナス金利の解除までの距離感に変化はないということか。

 距離感がすごく動いたからああ申し上げたわけではない。年内は可能性は全くないということを総裁の立場で言ってしまうと、決定会合の議論に強い縛りをかけてしまうリスクを伴う。そういうことは言わないほうが望ましいという趣旨の発言だった。

 来年の春季労使交渉での賃上げ動向など、年内に判断できるか。

 通常で考えると1〜3月にかけて大企業の結果が少しずつ出てきて、その他の企業はやや遅れるというタイムラインだ。どういう要因が影響するかということもある程度わかっているが、これは毎回の決定会合で判断する。前もってどの時点になればはっきりわかるかは、決め打ちできないと考えている。

 マイナス金利解除の条件は。

 物価目標の実現が見通せる状況になった場合にはマイナス金利の解除も視野に入るが、それがどういう変数とどうひもづいて短期金利がどれくらい動かないといけないのかについてはまだ決め打ちできる段階ではない。

 マイナス金利解除とYCC修正はどちらが先か。

 物価目標の実現が見通せる状況になった場合、YCCの撤廃やマイナス金利の修正を検討することになる。ただその場合には、(物価上昇率が目標を上振れするまで金融緩和を続けると約束する)オーバーシュート型コミットメントも含めてどうするか考えるが、さまざまな手段についてどれをどういう順序で具体的にどう変更していくのかについてはさまざまなオプションがある。

 7月のYCC柔軟化は為替市場の変動抑制に効果があったか。

 7月の措置は、将来物価見通しが上振れすることになってそれがYCC修正の予想につながる、それがさらに不要な金利や為替レートのボラティリティーの上昇につながるということを前もって抑制したいための措置だった。大幅なインフレ期待や物価見通しの上昇が7月から現在までの間に生じているわけでは必ずしもないと思うので、その効果をみるには時期尚早と思っている。

 コアCPIは3%を超えているが政策委員の認識は。

 ここ1〜2カ月の物価動向を見ると、7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で出した姿と比べてインフレ率がどんどん上振れしているということではない。当面は下がっていくという見通しを持っていたが、その下がり方が少しゆっくりめかなという雰囲気はある。

 2%を超える物価上昇が続いているがまだ緩和を続けるのか。

 長い間インフレ目標の2%を達成できてこなかった経験への反省が強くある。足元輸入物価の上昇に引っ張られてやや高めのインフレ率になっているが、その助けも借りて長年達成できなかった2%のインフレ率をぜひ達成したいということで緩和を継続している。ある程度強い総需要に支えられたもとで賃金と物価が好循環を続ける姿が確認できることが必要だ。その確認に時間をとっている。基調的なインフレ率はまだ物足りないが、ヘッドラインは下がっていくことが望ましい。この2つを達成しないと日銀として評価されないことは承知している。

 住宅ローンの金利が上昇傾向だが、受け止めは。

 長期金利が上昇しているので固定金利の住宅ローン金利が上昇することは当然起こる現象と思う。ただ上昇幅も限定的で、固定金利で借りている人の比率もそれほど高くないので、マクロ的影響は限定的と考えている。

 為替市場の動向について。

 為替はファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが望ましい。為替の動向は将来の経済動向あるいは物価動向に色々な形で影響を及ぼす、したがって我々の物価見通しにも影響を及ぼすものであるという観点から常に注視している。為替市場の動向だけではなく経済物価への影響について政府とも緊密な連絡を取りながら注視していきたい。

 企業収益の状況について。

 おおむね企業収益はばらつきはあるが好調であるという判断だったと思う。来年の賃金に向けて良い材料であるという議論もなされた。

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