フィボナッチ・ゾーン

投機筋の円売り ブレーキ

為替介入観測で売り越し幅急減

日経新聞より引用

月初に歴代2番目の大きさまで膨らんでいた投機筋の円売りにブレーキがかかり始めた。投機筋の円の対ドル売り越し幅は最新の16日時点のデータで前週から急減し、減少幅は約2カ月ぶりの規模となった。政府・日銀による円買い為替介入とみられる動きで円が急騰し、不意を突かれた投機筋が円売りの持ち高を縮小した。

米商品先物取引委員会(CFTC)が19日(日本時間20日朝)に発表した16日時点のデータによると、ヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)の円の売り越し幅は15万1072枚(約1兆9000億円)となった。前週9日時点からの縮小幅は3万961枚となり、5月7日(前週比3万3466枚減)以来の大きさだった。

2カ月前の5月7日までの約1週間は、政府・日銀による円買い介入観測などを受けて一時1ドル=160円台まで急落した円が151円台まで急騰する場面があった。今回も円相場が再び160円台を中心に推移するなかで、円買い介入とみられる動きがあった。こうした動きを受け、2カ月前に匹敵する規模の円売りの持ち高調整があったことをCFTCのデータは映し出している。

160円台までの歴史的な円安が進んだ要因には、投機筋による活発な「円キャリー取引」がある。国内外の金利差に着目し、低金利の円を調達してドルなどの高金利通貨で運用し金利差収益を狙う取引を指す。

CFTCによると投機筋の円の対ドル売り越し幅は7月2日時点で18万4223枚となり、2007年6月に記録した過去最大の18万8077枚に次ぐ史上2番目の大きさまで膨らんでいた。

財務省の神田真人財務官は12日に「これまでの円安の動きは奇妙だった」とし、「(円安進行を主導したのは)投機でないかと考えるのが自然」と発言。11、12日には円買い介入とみられる動きが出て、特に11日には4円程度の急激な円高が進んだ。その後も円相場は神経質な展開となっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の岡田佑介・上級調査役は「ここ数日で潮目が変わってきたのかもしれない」と話す。「日米金利差は依然として大きいが、1日に数円も円高方向に動くと円キャリー取引の利益が失われてしまい、円売りを諦める投機筋が出てきてもおかしくない」と話す。

もっとも、このまま投機筋が円の売り持ち高を解消していくかは不透明だ。市場関係者は方向感を探るべく、7月30~31日の日銀金融政策決定会合に視線を向けている。

日銀は前回の6月会合で国債買い入れの減額方針を決定し、その具体的な計画を7月会合で決めるとしている。オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは「日銀が市場予想よりも国債買い入れの減額幅を小さく設定すれば、金融引き締めに消極的との受け止めから円売りが再開する可能性もある」と指摘する。

また「市場の一部には7月会合での利上げ期待がある。目立つ決定内容が国債買い入れ減額の計画だけなら、決定会合後はひとまず円安圧力がかかるのではないか」(ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリスト)との声もある。

米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測の高まりもあり、足元で円相場は1ドル=157円台と7月前半の160円を超えた水準に比べれば円高方向にある。ただ、日銀の7月会合の結果次第で投機筋の円の売り持ち高が再び膨らむシナリオも捨てきれない。

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