投資情報ななめ読み

円安「介入条件」読み合い

日経新聞より引用

1日の東京外国為替市場で、対ドルでの円相場は1ドル=161円を挟んで推移した。37年半ぶり安値をつけてもなお円の先安観が強い一方、今年の下落幅は20円に達しており、円買い介入への警戒感も高まっている。政府が介入条件とする「過度な変動」の解釈を巡り、市場の読み合いが活発になっている。

「月初、週初で市場は閑散で、輸入企業のドル買いが円相場を押し下げた」。りそな銀行の中里信介クライアントマネージャーは1日の東京外国為替市場を解説する。

内閣府が1日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)再改定値が6月発表値から下方修正となり、国内景気の弱さが円売りに波及した。欧米時間に円安が進行。一時、1ドル=161円70銭台をつける場面もあった。

円相場が4月末の介入水準とみられる160円を下回り、市場では政府の「新たな防衛ライン」を巡り思惑が飛び交う。鈴木俊一財務相はかねて「(円相場について)具体的な防衛ラインはない」と語り、介入は「過度な変動」への対応との認識を示す。

主要7カ国(G7)の合意でも「為替レートの過度な変動や無秩序な動き」が経済に悪影響を及ぼす場合は介入を許容するとしている。どの程度の円安ペースが「過度な変動」なのか。介入の実務を担う神田真人財務官は定義のヒントをいくつか提供している。

1つ目が変化率だ。神田氏は3月下旬、「2週間で4%は、なだらかなものとは到底言えない」と発言した。日銀は3月19日にマイナス金利の解除を決めたが、緩和的な金融政策は続くとの見方から円が売られ34年ぶりの円安水準を付けた。その1カ月後に介入とみられる動きが観測された。

直近の円の下落率(2週間前比)は2%台に拡大したが4%とは距離がある。発言に照らせば足元の値動きは「過度な変動」とは言い切れない。

2022年9月の介入直前には「半年強で25%程度も円安方向に変化し(中略)急激な動きと言える」とも語った。直近の円下落率(6カ月前比)は14%台で、急激な動きとは言いがたい。

一方、値幅は「過度な変動」の定義を満たしつつある。神田氏は23年10月に「年初来でドル円相場が20円以上の値幅があるのも(過度な変動の)一つの要素」と述べた。24年の円相場は年初に比べて20円以上下落した。

23年10月には「一方向に一方的な動きが積み重なって一定期間に非常に大きな動きがあった場合は過度な変動にあたりうる」と語った。現在のような緩やかな円安でも、累計で大きな値幅になれば介入の選択肢を排除しない宣言ともとれる。

JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフ為替ストラテジストは政府の介入判断について「唯一の尺度があるわけではない」と指摘する。政府が値幅を重視するなら、いつ介入があってもおかしくはない。

政府は円買い介入効果を高めるため、取引が少ない時間帯を狙う傾向がある。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「米独立記念日の祝日で流動性が落ちる7月4日が狙い目とみている人が多い」と話す。

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