投資情報ななめ読み

今年も「12月の日銀リスク」 外為市場、欧州通貨カギ

日経新聞より引用

外国為替市場の焦点が米感謝祭休暇シーズン後の相場動向に移っている。トランプ米次期政権の積極財政策などを見込んだ「トランプ・トレード」は米大統領選の投開票から半月以上たって、すでにマンネリ感が生まれている。昨年12月に市場を揺さぶった日銀関連のイベントへの注目度が改めて高まってきた。

昨年12月といえば日銀の植田和男総裁が同7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べ、円相場が急伸した。植田氏はのちにこの発言について「一般的な取り組み姿勢の話」とけむに巻き、24年の元日に発生した能登半島地震の影響もあって市場では「チャレンジング発言」は次第に忘れられていった。

だが、実際には今年3月のマイナス金利解除から7月の追加利上げ、そのすぐ後に起きた株安加速など十分に「チャレンジング」な局面は続いた。昨年12月の植田氏の発言に振り回されたコンピューター取引は、現在も日銀からの情報発信に警戒を解いていない。

日銀の次の「チャレンジ」なイベントは12月18〜19日と来年1月の金融政策決定会合だ。市場ではこのどちらかの会合で追加利上げが決まると身構えている。問題は植田総裁がここまで「データ次第」との趣旨のコメントを繰り返すなど日銀側から何のヒントも伝わっていないことだ。

欧米金利の高さを考慮すると日銀が多少、金利を引き上げたところで円を押し上げるほどのエネルギーはなさそう。とはいえ、市場は想定外の事態に弱い。「12月会合が現状維持か利上げかの確信を持てないうちはリスクシナリオ(=円高)に備えた取引を進めざるを得ない」(欧州系ヘッジファンドの為替ディーラー)との空気が広がっている。

米商品先物取引委員会(CFTC)が22日に発表した19日時点のシカゴ通貨先物市場の建玉報告をみると、対円で投機的な買い持ち高が積み上がっていそうなのは米ドルとユーロ、英ポンド、オーストラリアドルあたりだ。ファンド勢は円売り・米ドル買いと同時に対米ドルでの買い持ち高を増やすことによる「合成ポジション」をしばしば作る。

このうちユーロはウクライナ情勢の緊迫化や域内景気の不透明感から22日に急落するなどだいぶ不安定になっている。ポンドも同様だ。オーストラリア・ペッパーストーンのクリス・ウェストン氏は「トレーダーは対ユーロや対ポンドでの円の売り持ち高をさらに解消し、スイスフランやスウェーデンクローナなど他の欧州通貨に対して円の買い持ち高の形成を狙っていくかもしれない」と指摘する。

12月は米連邦公開市場委員会(FOMC、17〜18日開催)から間を置かずに日銀会合の結果がわかる。もし米連邦準備理事会(FRB)が利下げを見送り、日銀がここで政策変更をしなければ円は大きく下げてもおかしくない。しかし、すぐに翌年1月の会合が視野に入る。その段階でのトランプ・トレードの成熟度合いにもよるが、日銀リスクへの警戒感は持ち越される公算も大きい。

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